ご挨拶

日頃よりMJネット研究会員ならびにMJネット工法をご支援いただき、厚く御礼申し上げます。

MJネットはPC鋼線をより合わせたリングを4連または6連にからめて成型したASMネットを阻止面とし、ネットに連結したワイヤロープがブレーキデバイスを介して山側アンカーに固定された構造となっています。この形式の高エネルギー吸収落石防護柵はネット強化型と呼ばれている通り、阻止面が落石によって破断しないよう強度と靭性に富んでいることが最大の特長です。

私たちは2000年にASMネットの輸入を開始しましたが、当時から欧米の大規模落石防護柵はこの種のネットを使用したものが主流でした。ASMネットはAnti-Sub-Marine-netの頭文字をとったもので、名前が示す通り第二次世界大戦ではネットを海面から吊り下げて潜水艦や魚雷の進行を阻み、船や港を守るために開発されたものがルーツです。戦後は専ら落石防災の平和利用に用いられていますが、リング単体の強度だけではなく、複数のリングをからめることによってネット全体をルーズな構成とすることにより、落石をネット全体で非弾性衝突的に柔らかく受け止めることができます。

高エネルギー吸収落石防護柵にはネット強化型のほかに支柱強化型と呼ばれるタイプがありますが、わが国で最初の高エネルギー吸収落石防護柵が発表されたのが1994年の支柱強化型です。その後20年以上二つのタイプのいろいろな防護柵が開発されてきましたが、それぞれ独自の構造原理や実験方法で性能をうたっているにすぎず、統一した性能評価方法がありませんでした。このことは性能設計を根拠とする資材調達に関する大きな課題でしたが、(公社)日本道路協会により2017年12月に改訂された落石対策便覧では実験による性能照査方法が示されました。この照査方法は土木研究所が中心となった共同研究がベースになったもので、EU諸国の性能照査ガイドラインにも一部準拠しています。

MJネット研究会ではいち早く便覧基準で性能照査ができる実験設備を整備し、各エネルギー基準の実験を実施し、3000kJまでのエネルギーで中間スパンおよび端末スパンで性能を確認済みです。また実験を補完できるよう大変形解析プログラムによってお客様のニーズに細かく対応できるよう努めております。おかげさまでお客様からの評価も高く、超高エネルギー吸収落石防護柵として広くご採用いただいております。

自然の力にはまだまだ及ばない我々ですが、MJネットが 落石や土砂による人的災害を未然に防ぐたびに「ここにMJネットを使っていただいて良かった」と感謝と喜びに満たされます。

これからも自然災害の多いわが国の安全と安心に少しでもお役に立てていただけるよう研究会員一同、日々精進してまいる所存です。今後とも倍旧のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
 

MJネット研究会 会長 塩見昌紀